El Verkoj de Tacuo
デジタルブックダウンロード

 

 

 

ホームページに作品を公開すれば、海外のエスペランチストを含む多くの方々がアクセスでき、これが望ましい形式といえます。しかし編集人は、以前からデジタルブック形式(電子ブック、eBookとも呼ばれる形式)に強い思い入れがあります。かってMacintoshのHyperCardで、デジタルブック生成のためのスタックウェアテンプレートを開発し、実際にデジタルブック形式のコンピュータ技術マニュアルを作成したり、ボイジャー社のエキスパンドブックを利用して、「エスペラント・アラカルト」を制作して公開したりしましたが、最近またデジタルブックが注目を浴びるようになってきました。

 

藤本達生さんは60年以上にわたって、エスペラントにまつわる作品を数多く執筆してきました。これらの作品をデジタル化し、いつでも読めるようにするという取り組みが始まり、まもなく7年を迎えようとしています。その作業は急速に進んだり、あるいはほとんど進まず停滞したりしながらも、なんとか今日まで続いてきました。
達生さんの作品の一部は、このホームページに、エスペラントおよび日本語で公開していますが、その公開は全作品のほんの一部に過ぎません。すでにNova VojoやLa Movadoに掲載された作品は、ほとんどデジタルテキスト化が完了し、ホームページに公開できる準備が整っています。
そうした中のひとつの試みとして、今回達生さんの作品の一部をデジタルブックにまとめたのが、「El Verkoj de Tacuo」シリーズです。今回公開するデジタルブックは4冊で、以下の解説を参考にダウンロードして、作品をお楽しみください。


1) El Verkoj de Tacuo - Kajero 1
・ヨーロッパで会ってきたひとたちの話
・海外で会ってきたひとたちの話
・Kalocsayをたずねて
・W.オールドの語ったこと
・ジャン・有馬の襲撃
・第50回世界エスペラント大会見聞記
・リンス氏、グラボウスキ賞と伊東幹治について語る
・Esplorejoj kaj esploriloj ĉe la kazo de ludovikito
・Pri traktado de niaj verkistoj
・En la ombro de aŭroro: pri Takasugi Itirô
Macintosh/iPad用 ダウンロード
Amazon Kindle用 ダウンロード

 

2) ザメンホフの生涯 (El Verkoj de Tacuo - Kajero 2)[ 縦書き ]
Macintosh/iPad用 ダウンロード
Amazon Kindle用 ダウンロード

 

3) エスペラント・アラカルト (El Verkoj de Tacuo - Kajero 3)[ 縦書き ]
Macintosh/iPad用 ダウンロード
Amazon Kindle用 ダウンロード

 

4) 興味の問題 (El Verkoj de Tacuo - Kajero 4)
Macintosh/iPad用 ダウンロード
Amazon Kindle用 ダウンロード

 

(解説)
<1> Macintosh/iPad用はePubフォーマットのデジタルブックで、Amazon Kindle用はmobiフォーマットのデジタルブックです。
mobiフォーマットのデジタルブックはAmazonのFire、Kindle、Paperwhite、Voyage、Oasisなどの端末で読むことができます。

上記の「ダウンロード」リンクをクリックしてダウンロードします
Windows環境では、次のどちらかの方法でデジタルブックを読むことができます。
・一般的なePubリーダーをWindows環境にインストールし、Macintosh/iPad用のePubフォーマットのデジタルブックをダンロードして読みます。
・AmazonサイトからKindleリーダーアプリケーション(Kindle for PC)をダウンロードし、それを使ってAmazon Kindle用のmobiフォーマットデジタルブックを読みます(Kindleリーダーアプリケーションを入手するには、AmazonのIDが必要です)。

・楽天のKobo端末の場合、PCとKoboを接続して、KoboをPCの外部デバイスとして認識させます。そしてePubフォーマットのデジタルブックを、Koboの指定フォルダーに転送し、ファイル名のepubの前にkepubを挿入します(例えば「ザメンホフの生涯.kepub.pub」)。

 

<2> 上記デジタルブックは、未解決の問題を含んでいます。
・ザメンホフの生涯
操作状況により、デジタルブックに組み込んでいる画像の位置がずれる場合があります。
これはデジタルブック作成用のエディのタ仕様によるもので、現時点で未解決です。問題解決のために、エディタ開発会社と協議しています。
・ザメンホフの生涯/興味の問題
Macintosh上のiBooksアプリケーションで、これらのデジタルブックを起動する際、あるいはフォント設定を変更する場合、ePubのタグやコンテンツを完全に読み込んでフォーマット化するまで、かなりの時間がかかります。この間はページの移動や目次項目のクリックができません。これについては、MacintoshのiBooksとデジタルブック作成用のエディタの間の連携に問題があることが判明しています。ただしiPadのiBooksでは、こうした問題は発生しません。
MacintoshのiBooksで発生するこの問題を解消するには、次の方法で回避することができます。
ー AmazonサイトからKindleリーダーアプリケーション(Kindle for Mac)をダウンロードし、
ー それを使ってAmazon/Kindle用のmobiフォーマットのデジタルブックを読みます。

 

<3> 上記4冊のデジタルブックはルビなども含めて、できる限りオリジナル作品を忠実に再現しています。ペーパーと電子機器という違いはあるものの、特に縦書きの作品については、オリジナルの作品にかなり近いものとなっています。
ただしすべての点で、今回のデジタルブックが完璧と保証するものではありません。入力の誤りや、フォーマットのずれなど、編集上の問題があり得ます。
読者の方でお気付きの点がありましたら、遠慮なく編集人にご連絡ください。できる限り将来のバージョンアップに反映していきます。
またリーダーアプリケーションの入手・インストール方法や、その操作方法について不明な点がありましたら、同様に編集人にメールでご質問ください。可能な範囲でサポートを行います。

 

<4> 少々古いのですが、JEI(日本エスペラント学会)の機関誌La Revuo Orienta 2014年7月号に、「Verkoj de Tacuo のこと」という記事を掲載していただきました。これは達生さん自身がまとめたものではなく、多くの方々にVerkoj de Tacuoの活動を知ってもらいたいと願って、Verkoj de Tacuoの編集人がまとめたものです。

4冊のデジタルブックと併せて、以下の記事を一読いただければ幸いです。

 

☆☆☆☆☆

 

Verkoj de Tacuoのこと

 

 「達生が入院しました。ついては少し相談したいことがあるので、一度京都においでいただけませんか?」 ー 2011年4月藤本ますみさんから電話がかかってきました。
 私が藤本達生さんのお顔を初めて拝見したのは,確か1973年か74年の頃だったと思います。当時日本エスペラント学会の研究発表会が大阪森ノ宮で開かれ、そこに友人のI君といっしょに出かけた時でした。真面目に研究発表を聴こうというわけでもなく、ただその場の雰囲気がどんなものか知りたかっただけで、いわば暇つぶしのようなものでした。そのプログラムの中で、達生さんが「今ザメンホフの第一書や、第二書を再販する計画を進めている」、「この計画がうまく進めば、相当長期にわたる大変な作業になるだろう」というような話をされたのです。
 その場は特に何も意識することなく、すべての発表が終了するや否やさっさと会場を後にしました。日本エスペラント学会の研究発表会がどのようなものか、およそのことがわかったわけで、それでもう充分でした。
 その後、何かのきっかけから達生さんのご自宅に伺うようになりました。そして私が1975年世界大会(デンマークコペンハーゲン)に参加する途中、達生さんからお預かりしたludovikito本の第2巻(Ni laboru kaj esperu!)、第3巻(Tamen la afero progresas!)をUEAのロッテルダム本部に持参するようなこともありました。
 仕事の関係で、私は滋賀県栗東町(現在の栗東市)から、兵庫県宝塚市、神奈川県横浜市に転々と住所を変え、最終的には故郷の岡山県岡山市に戻ってきました。そした中でも、まれに京都北白川の達生さんご自宅に伺ったり、逆に達生さんが宝塚市や岡山市に見えたりで、なんとはないおつきあいが続いていました。

 

 話を2011年4月に戻しましょう。ますみさんからの電話を受けて、2、3日後、達生さんが入院している京都の病院に向かいました。その日はちょうど検査のためか、直接達生さんにお目にかかることはできませんでしたが、病院から北白川のご自宅に移動した後、ますみさんからの相談内容について説明がありました。要旨は次のようなものでした。
・達生さんが退院した後、何かやりがいのようなものがあれば、気持ちのうえでも元気になるだろう、
・それにはやはりエスペラントを続けていくことだが、なかなか作品を発表する場がない、
・雑誌や機関誌は紙面の制限もあり、なかなか思いどおりにいかない、
・そこで何かホームページのようなものを立ち上げることができれば、そうした希望が実現できるのではないか。
・そのホームページには、過去に発表した作品もいろいろ載せたい。
 つまりますみさんの「相談」とは、ホームページの立ち上げ、編集、更新、管理など一連の作業をやってもらえないかということでした。

 

 私にはあまり経済的余裕はありませんが、時間なら充分あります。一連のホームページ作業についても、多少のことなら可能でした。また最近はUEAの雑誌をめくったり、ネット上のLibera Folioをブラウズするぐらいしかできていませんでしたので、この提案を引き受けました。
 こうしてその日の夜岡山に戻ってきたのでした。問題としては、過去に発表した作品をホームページに載せる場合、出版権の問題をどう解決するか、ホームページのデザイン、特にレイアウトやフォントをどうするかなど、いくつか解決しなければならない問題が残っていました。京都を離れる時、ますみさんから源氏物語の「桐壺」のエスペラント訳を預かりましたので(これはLa Movadoに連載された作品であり、峰芳隆さんが校正されていましたので、結果的にエスペラントの字上符を採用し、これに置き換えただけで、そのまま組み込むことができました)、何はともあれ大至急、この作品を載せたサンプルのホームページを作成することにしたのです。
 すぐにレンタルサーバーの申し込み手続きを行い、数日後にはサンプルのホームページを立ち上げることができました。達生さんとますみさんからもデザインやレイアウト面で了解をいただいたので、当面ホームページの充実をはかることにしました(その時は私の手許に古いホームページ作成ソフトしかありませんでしたので、将来最新のHTMLやCSS技術を駆使し、完全な形に書き直す必要がありましたが、それはまた後で考えることにしました)。
 私の個人的希望は、絶版の『ザメンホフの生涯』(梅棹忠夫・藤本達生共訳)や『興味の問題』をホームページに載せることでした。今から書籍の再販というのは望めませんので、完全な形での掲載(注1)は無理にしても、なんとか若いエスペランチストが、そうした作品に触れる機会を残しておきたいと思ったのでした。特に『ザメンホフの生涯』については、大手出版社との交渉が必要でしたが、達生さんが出版社と交渉を重ね、なんとかクリアすることができました。

 

 約一年が過ぎ、いよいよホームページの再構築に取り組む時期が来ていました。ところがその頃、達生さんとますみさんから「約50年にわたってNova Vojoに載せた記事を、この機会にぜひテキストとして残したい・・・」という提案がありました。しかし今回の取り組みは、達生さんのすぐれた作品をホームページに公開するものです。学習記事などは対象外と考えていましたが、これで軌道修正せざるを得ない状況になりました。つまりホームページの作成だけでなく、達生さんの作品すべてをデジタル化する計画に移ることになります(したがって今後La Revuo OrientaやLa Movadoの記事を、デジタル化するという試みも具体化するかもしれません)。結局Nova Vojoのデジタル化については、A4で400ページ以上の分量になり、入力やチェックの作業にかなり手間取りました。そのためホームページの再構築は大幅に遅れ、2013年7月初めにやっとその作業が完了することになります(注2)。

 

 達生さんは長い間、伊東幹治(ludovikito)さんのfenestroとして、ザメンホフ全集のために尽力してきました。特に初期において達生さんの果たした役割は大変大きなものがあり、彼を通じて海外のエスペラント運動家、エスペラント歴史研究家、ザメンホフ研究家がさまざまな形で協力してくれたのでした。
 今度は私の番です。達生さんがludovikitoさんのfenestoであったように、私は達生さんの、つまりfenestroのfenestroであり、fenestridoとして達生さんのホームページ制作だけでなく、作品のデジタルテキスト化に協力していくことに決めました。fenestroの達生さんには遠く及びませんが、fenestridoとして可能な範囲支えていきたいと考えています。
 Gustumu la hejman paĝaron de “Verkoj de Tacuo”!!
ーhttp://www.verkojdetacuo.net

 

(注1)原文を忠実に再現するのは本当に難しいものです。ホームページは横書きですから、縦書きの原本をもとにテキストを組み込む場合、当然漢数字を英数字になおさなければなりません。その他記号や引用符など細かい置き換えが、どうしても必要となってきます。スキャナーでテキストを取り込む時、エスペラントの字上符処理は絶望的で、どうしてもキーボード入力が必要となります。またアルファベットのl(エル)と数字の1(イチ)、アルファベットのo(オー)と数字の0(ゼロ)など、OCRで正確に置き換える技術はまだ確立されていません。今回Nova Vojoの作品はすべてスキャンしたイメージで送られてきましたので(!)、それを再度スキャナーでOCR化することはとてもできず、結局キーボード入力が基本となりました。「同じものを・・・」理想と現実のギャップは作業に絶えずついてまわったのです。このあたりのことについて、ludovikitoさんの苦労は筆舌に尽くしがたかったに違いありません。

 

(注2)有名な活動家や作家向けのFestlibro(W. Auld、I. LapennaやH. Tonkinなど)には、発表した作品や論文のリストが載っています。なかにはR. Haupenthalのように、定期的に自らの発表作品のリストを小冊子で出版している場合もあります。今回のNova Vojoの処理は、長い目でみると これに類似したものかもしれません。達生さんの作品をどのくらいまでデジタル化できるかわかりませんが、可能な限り取り組んでいきたいと考えています。

 

(Resumo) Petite de s-ro Tacuo Huĝimoto, mi faris hejman paĝaron de liaj verkoj. (fenestrido)

 

編集人:s-ro fenestrido por Verkoj de Tacuo(jtac@mac.con)